【唇な男_SEX MACHINEGUNS】やべぇ唇したあいつが今日も今日とてやってくる!

SEX MACHINEGUNS

唇な男、このタイトルを聴いただけで、本質まで見抜けた猛者は居るか?

日本のヘヴィメタルバンド、いや、敢えてジャパメタバンドと呼びたい。我らがSEX MACHINEGUNSが活動25周年となるアルバム『地獄の暴走列車』を発売して2か月。

な~るほど ザ ワイルド梅雨の祭典25周年スペシャルと題したツアーで精力的にライブ活動を繰り広げている彼ら。参戦出来ていないのが痛恨の極みであります。

心身ともに限界突破して行きながら、ライブには参戦出来た日々。

心身に穏やかさを保ち、生命は維持しつつもライブには参戦出来ない日々。

果たして、どちらが幸せなのかと考えてしまいます。いやいや、どっちも幸せだ!と言い聴かせ、こうして今日も飽きずに自宅で爆音を浴びる日々。

そして、ついにお前の番だぞ、唇の男!

このアルバムを手にしたファーストタッチの頃から、じっくりと聴き込んでいる現在まで、常に好きな楽曲のトップ争いを続けているのが、何を隠そうこの『唇の男』。

そもそもこの楽曲との闘いは、実際に楽曲を耳にする前から始まっていたのです。タイトル『唇な男』と聴いて、「ふーん、そう…え?唇?なんそれ?」と、二度見三度見をしない者が居るでしょうか。

一体どんな楽曲なんだ?

ANCHANGのことだ、絶対に仕掛けて来るに決まっている。

唇?KISS的なことへの暗喩か?雨の川崎的な、大人な愛を描いたりするんだろうか?

なにやら「ポ」なる、明らかにやばいタイトルもある。ここは逆にガチ曲パターンか?

妄想が妄想を呼び、夜もぐっすり8時間しか眠れない日々を乗り越え、ついに新譜を手にした私は、楽曲が再生されて間もなく「真相」にたどり着くのです。

アナゴくん、あんただったのかい!

この楽曲の素晴らしさはこの後に語って行きますが、その素晴らしさとは裏腹に、この「真相」が判明した瞬間は二度と味わえません。

妄想に妄想を重ねた謎に対して、斜め上からとんでもない、しかし納得感100%の回答を与えられた快感を、爆裂な楽曲と共に味わえるという一大スペクタクル。今世紀最大のカタストロフィ。

この快感は、SEX MACHINEGUNSを推していなければ決して味わえない至高の快楽。ANCHANG、いつもいつも、どうもありがとうございます。

本当にヤバいのは楽曲。マシンガーならみんな知ってるね?

ヘヴィメタルと一口に言っても、様々な楽曲が存在します。ことアルバムの構成に於いては、どこまでも炸裂してアルバムを牽引するキラーチューンもあれば、ミドルなテンポで中盤の充実度を高めてくれる名曲もあります。

この『唇な男』は、アルバムの中でも6曲目という正に中盤。前半を飾る必殺曲と、クライマックスへ向かう最終奥義とをつなぐ、起承転結の「承」という任務を担う重要なポジ。

疾走ばかりでは疲れてしまう。自然と派手さやテンポは落とした構成になります。しかし、だからといって無難な楽曲になってしまえば、つまらないと飛ばされて終わり。派手さではなく味わいで勝負するという玄人試合、中盤曲というものは本当に「バンドの地力」が現れます。

さてこの曲、マジで隙の無い構成ですよ。

イントロから、「俺が新メンバーのトーマスだ!よろしくぅ!」と言わんばかりにドラムソロのご挨拶。このアルバムをライブに例えるとするならば、中盤に差し掛かったところで一息ついて、新メンバーの紹介タイム、というわけです。

そしてSEX MACHINEGUNSお得意の、シンプルだけれども力強い、ミドルテンポのいぶし銀メタルが炸裂します。メインのリフとも言うべき楽曲の芯は実にシンプルなサウンドで構成されています。だからこそなのか、必殺のフレーズが我々の脳内を浸食のするのです。

あ~な~ご あな あ~な~ご~ぅ♪

アナゴくんのポテンシャルという要素もありますが、このフレーズ、癖になること間違い無しですよ。癖にならないひと、居ます?少なくとも一週間程度、脳内で呪文のようにリフレインする症状が現れるはずです。

う~なぎの骨 う~なぎの皮 う~なぎのヌメヌメ~♪以来の禁断症状。言葉の語呂の良さ、韻の心地良さと、メタルサウンドの気持ち良さを融合させるこの技術。lyric良くね?フロウ最高じゃね?と言いたくなります。

言葉の面白さ、サウンドの心地よさ、癖になるフレーズ。なるほど面白い曲なんだね?という所で終わらないのがSEX MACHINEGUNS。こうした要素で我々の心をしっかりとわしづかみにした彼らは、最高のバチクソメタルでタコ殴りにしてくれます。

ポケットの名刺のくだりで一抹の情感とエモさを添えた後に繰り出されるギターソロパート。これがまた旨い!

バックではメインとなるサビと同じサウンドがミドルテンポでずっしりと展開する中で、最高のギターソロが暴れる暴れる。疾走感をやや控えたギターソロは、一音一音をしっかりと味わうことが出来るので、こういうタイプのギターソロもまた、素晴らしいですよね。

そしてラストはオーディエンスと共に合唱タイム。

A・NA・GO!A・NA・GO!

なまじ意味を理解しているからこそ面白さもあるわけですが、アルファベットと音だけを考えたら、何とも熱いライブ展開になること間違いなし。みんなで拳を振り上げ、声を振り絞り、A・NA・GO!と英雄の名を呼ぶのです。

アルバムの中の中盤曲としても、ライブ映えする曲としても、本当に隙がありません。SEX MACHINEGUNS節を全開に感じられるこの曲は、地獄の暴走列車の中でも1~2を争うポテンシャルのある名曲、と称しても、異論はないことでしょう。

そして、過去の『うなぎの王様』を聴いてうなぎが食べたくなるのとは違い、このアナゴの楽曲を聴いても食欲はわきませんね。代わりに「ふ~ぐたく~ん」という、あのフレーズを耳にしたくなります。私も、渋いスーツで誘われてみたい…

【SEX MACHINEGUNSについての記事はこちら】

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