【帰郷_The冠】中年メタラーの帰省シーズンは、こいつを聴かなきゃ始まらない

THE冠

中年の我々にこそ響く物語がある

盆暮れ正月。親元を離れて自立した者にのしかかる「帰省」「帰郷」という言葉。

帰省するひと、しないひと。

帰省出来るひと、出来ないひと。

帰省したいひと、したくないひと。

我々のような中年ともなれば、その想いは実に様々なものがあるでしょう。

世の中には、様々な物語がある。それは自分の人生であったり、描かれた何かだったり。若い時分にこそ響く物語もある。同じように、人生の年月を経て、中年の身となったからこそ心に響いて来る物語というものも存在する。

本日は、そんな我ら中年にこそ、五臓六腑に染みわたる円熟のメタルをお届けしたい。

圧倒的な轟音。最高品質の激重ヘヴィメタル。

そこに載せられる、激エモストーリー。

斬新過ぎるローコストなMVは、奇跡的に楽曲の雰囲気にベストマッチ。

不思議と楽曲と併せてこのMVも定期的に見たくなるんですよ。

現代に戦う漢を描かせたら天下一品。ニッポンのメタルマスターThe冠の帰郷。激しい楽曲で体が熱くなり、静かに胸も熱くなる。

最強のバチクソメタルと、妙にリアルに突き刺さるストーリー

The冠と言えば激重サウンドのバチクソメタル。この曲のイントロなんて、どうよ?

ガッツリ激重のギターサウンドに、地の底から響きあがってくるようなドラム。

定番の高音シャウトとはまた違い、唸るような咆哮で楽曲は幕を開ける。

楽曲の背骨となるリフは実にシンプルながらにクソ重い。そこにあるのは華やかな煌めきではなく、黒光りする重厚な鋼鉄の輝き。ズッシリと刻まれるリズムと相まって、ヘヴィメタルとしての旨味は天井知らず。

そこに歌謡の雰囲気さえまとう歌声が合わさって行くのが冠スタイル。キャッチーに聴かせる部分の歌声はとても伸びやかで、情緒あふれる歌い回しによってメロディ成分がマシマシされる。

これだけクソ重いのに、歌メロとして聴くことも出来るのがまず普通じゃないんよ。往年のニッポンのヘヴィメタルマスター達は、これをさらっとやってのけるんです。どこまでも重く、激しく、そしてエモい。

言葉の良し悪しは別として「ジャパメタ」っていうガチジャンル、ありですよ。

そしてねぇ、この歌詞と世界観もまた刺さるんだ。出て来る歌詞がマザーファザーよ?マザー〇ッカーじゃないのよ?父さん母さん!って。

何気に言葉のチョイスが実に巧妙で、「ヘタクソなメール」っていうのも、よく情景を映していますよね。我々中年にとっての親世代は、当然ケータイにすら触り馴れていない世代ですから。今となってはLINEの時代になったけれども、不思議な「違和感」はありますよ。なんというか、使えるけれども使いこなせていない不自然、端的に言えばヘタクソ。

実家に顔を見せろと繰り返す両親。そうは言っても忙しくて余裕のない日々。そりの合わない嫁。ちょっと倒れる父(このちょっとがまたリアルよな)。

帰省や帰郷と呼ぶような、物理的に遠い距離感で住んでいる方々にとっては、中年になって以降に両親と顔を合わせることは、決して容易ではないでしょう。年に1~2回が良いトコだろうか?そして自分と親の年齢は…なんて考えてしまえば、会える回数は数えきれてしまうレベルのもの。うーん、実にリアルだ。

常識ではありえない、けれど振り切った、どこか癖になるMV

そして極めつけはこのMV。いいですか皆さん、これMVですよ?

近年の音楽業界では新曲とMVがセットな雰囲気もあるし、独自性や世界観を描くことが出来る作品の一つでもある。映画のような大作映像を創る人もいれば、CGを駆使して先鋭的な映像を創ることもある。

一方でこの傑作MVはというと。

公園のブランコで外回りを終えたハゲが一服するだけの姿。

斬新すぎねぇか?楽曲のメインデッシュとも言える必殺のギターソロが流れる場面でも、映像は静かなもの。さらっと汗拭いとる場合ちゃうやろがい!

なんて思うんだけれども。けれども、だ。楽曲やテーマ、世界観とが「これでもか!」というほどマッチしているのもまた事実。激しいメタルと裏腹に、この一見のんびりとした風景と、のびやかな歌声が劇的に合うんですよ。

歌われて行く物語は、この登場人物(外回り終わりのハゲ)の脳内で思い描いたものであろうか?日常の中、日々の仕事の中での一幕。

ちょっと一息ってなもんで腰を下ろし。

軽く一服決め込んで。

ブラックコーヒーを啜る。

たどり着くクライマックスの出来事が「よし…帰ろ」の一言という、どこまでもリアルな描写。

どこかふざけるような、外すような、ギャグのような一面もちらつかせつつも、やっていることは大真面目であり、そのクオリティは本物。

あなたもこのMVを見て、「たまには実家帰ろうかな、帰らないといかんよなぁ…」「あぁ、何かボンカレー食いてぇな」なんて、ふと思ったりしたのではないでしょうか?

【The 冠の記事はこちら】

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