【至上の唇_人間椅子】歌えるドラマー、アニキがお届けする超陽キャ曲

人間椅子

全員歌えちゃうのさこのバンド

2023年9月6日に最新アルバム『色即是空』の発売を控えた人間椅子。新譜の発売を前にするドキドキというのは、いつの時代も素晴らしい日々になりますね。

発売までもう2か月を切っていることもあり、既に楽曲タイトルも発表されておりまして。宇宙、地獄、といったお馴染みのワードの登場に、妄想が捗るというものです。

そして、毎回毎回気になるのは、今回のアニキ曲はどんなかな?

人間椅子はギター、ベース、ドラムのスリーピース編成でありながら、全員がリードヴォーカルを務めるという素敵編成でもあります。ギターの和嶋慎治、ベースの鈴木研一が大体半々でリードヴォーカルを務め、大抵アルバムに1曲は我らがアニキ、ドラムのナカジマノブが歌ってくれるのです。

ロックンロール特急、赤と黒、のような真っすぐに疾走する王道ロックを披露してくれることもあれば、近年では蜘蛛の糸、悪夢の添乗員のようにみんなで楽しく唄えるような楽曲もあり。

今回ご紹介しますは、2023年7月時点で最新のアルバム『苦楽』より、『至上の唇』。時に文学的な世界観を創造し、時に陰鬱な精神世界を表現し、時に生首が飛び交う人間椅子の楽曲世界に於いて、「キッスをしたい!」と豪快に歌い上げられるのはアニキだけでしょう。

三人という限られた編成ながら、全員が曲を作り、全員が主役をはって歌えるこのバンド。ホントにどこをどう切り取ってもポテンシャルの塊やでぇ。

ちなみに…最新の『色即是空』のアニキ曲はどれなんでしょうね。やっぱり地獄大鉄道でしょうかね。地獄シリーズと思わせつつ地獄小僧のようにアニキ曲のパターンでしょうか。

蛞蝓体操も、「体操」と聞くとアニキの色を感じる気がしますが、「蛞蝓(なめくじ)が体操をする」なんていう発想は、研ちゃんしか出来ないような気もしますよねぇ。いやいや、楽しみ楽しみ。

アニキの歌が一番上手い説まである

さてさてこのアニキが歌うシリーズですが、個人的に「歌が一番上手いのはアニキ説」まであると思っているのですよ。

歌の上手さを表すパラメーターは多岐に渡りますよね。わじーの歌はまるで劇画のような独特の雰囲気がたまらないし、研ちゃんは唸るような低音から驚くような高音まで出しちゃうし。

そんな中でアニキの歌声の良さは抜群の気持ち良さ。これに尽きますね!

どこまでも通る、気持ちの良い爽やかな歌声。

HR/HMのドラムを演りながらも全く乱れぬ呼吸で歌い上げる卓越した声量。

音程の取り方も非常に安定して、一切の不安なく聴くことが出来ます。

少し楽器を触ったことがあるならば、「演奏しながら歌う」ということの難しさはお解りかと思いますが、これがドラムで、しかもHR/HMというジャンルですよ?

あれだけ激しく叩きながら、リズムもキープしながら、ライブではイヤモニとか使わないのに、首をひょいっとマイクの方に向けて、ド安定な歌声を披露してくれる。これ、中々の化け物ムーブだと思いませんか?

そして先にも述べました通り、アニキ曲全般に言えることではありますが、この独特の世界観がお口直し、清涼剤、ギアチェンジに最適なのですよ。

特にこの『至上の唇』は、感染症禍に生み出されて苦楽重い雰囲気を漂わせる『苦楽』の中で、心身の負担なく、爽やかに気持ち良く聴くことが出来る大変貴重な楽曲でもあるのです。

生きるも地獄、死ぬるも地獄…

奈落へ誘い込まれぬように…

辛さに負けるな…負けるな…

生きーたまーま、むしゃーむしゃーと、喰わーれちーまーうー(!?)

なんて言葉が飛び交う中で、

今すぐ! KISSをしーたいー! 今すぐ! 愛撫をしーたいー! 今すぐ!

ですからね。あーもう心が楽になるわけです。子供のように純粋無垢な気持ちで身を委ねられるワケですよ。そしてアニキ曲はアルバムの中でも、ライブ構成の中でも、中盤を越えてやや進んだあたりに配置されます。

この曲で一旦心をふわっと軽くさせて、みんなで楽しい気持ちになったところで、ここからはギアを更に上げて怒涛のクライマックスへ突き進むぞ!という。暗黙の了解、予定調和、様式美の如く、我々の気持ちを一歩先へと誘ってくれる。それがアニキ曲の力なのですよ。

シンプルなリフが生む親しみやすさ

アニキ曲の特徴として、その多くが作曲もアニキであるということ。この『至上の唇』は異なるのですが、アニキが作曲した曲でも、アニキ曲用に用意される曲も、同じような特徴、コンセプトがあります。

この『至上の唇』をお聴きになればお解りになる通り。アニキの曲はいずれシンプルなリフなんですよね。

どこかで聴いたことがあるような、親しみのある、誰でも解りやすい音。これが良いのです。

HR/HMという界隈は、油断するとどこまでも複雑怪奇に潜り込んで行くことも出来ますから。超絶テクニシャンの高速ギターソロとか、もうどんな音で構成されているのか全然解りませんものね。それがまたカッコ良いわけですが、「よく解らんなー」と思って魅力を感じない方が居るのも事実。

それに比べてアニキの曲はいずれも単純明快。これと決めたモチーフのリフを徹頭徹尾踏襲し、心地の良い音に心地の良い歌声を載せるという、全くブレのないコンセプトで作られる、教科書のような仕上がりです。

爽快感重視のロックサウンド。

メインはアニキ、残る2人が掛け合うような楽しい構成。

「今すぐ!」のように、ライブでは観客も歌いたくなるような鉄板フレーズも配置して。

ギターソロは疾走感溢れるギターのバックで「陽のノリ」全開のドラムが気持ちの良いサウンド。

この『至上の唇』も然り。

80年代頃の雰囲気を纏うシンプルなロック感のあるサウンドは気持ちが良いですし、「今すぐ!」の部分はもちろん、ステージ上の動きとしても、わじーと研ちゃんがステージ上で組んずほぐれず。

ギターソロコーナーも毎度の通り。ベースはしっかりとルートを支える音で、ギターは「陽の気」を満々に秘めた疾走系の気持ち良さ。そしてアニキのドラムは実にシンプルな構成で、アニキ独特の「ノリ」を十分に堪能出来ます。ラストはドラムソロパートもあって、みんなニッコリ。

ドラムにはそれぞれ固有の「ノリ」があり、アニキならではの「ノリ」に2人は魅了された。

その結果、人間椅子にアニキを誘うに至った、というような旨のコメント、エピソードがありましたね。事実、このナカジマノブの加入によって人間椅子のサウンドは「ドでかい陰」の中に「突き抜けた陽」も併せ持つようになり、バンドとしても大きな転機を迎えるわけで。

そんなアニキが活躍するアニキ曲。公式アナウンスが有ったわけではないけれど、もちろん今回のアルバムでも収録されていると期待していますよ。

さぁさぁ、『色即是空』では、どんなアニキワールドを魅せてくれるのでしょうか。

【人間椅子についての記事はこちら】

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