【Zero Gravity_浜田麻里】Zero Gravityな世界の中で、Great Gravityを見つけ出せ

浜田麻里

激しいメタルだけではない、もちろん有ります壮大なバラード枠

浜田麻里40周年に当たる傑作最新アルバムSoar、楽しんでおられますでしょうか。もちろん、私もCDに穴が開くほど聴き込んでいます。

シングルカットでダウンロードリリースされがちな昨今の音楽とは異なり、やっぱりアルバムは「CD」という形で入手したくなるんですよ。

結局はデジタル機器で再生することがもちろん多いのではありますが、奮発して手に入れたお気に入りのオーディオに、聴きたいCDをセットする動作。これがまた、何だか嬉しかったりするのですよ。この感覚も、中年にしか通じないムーブになってしまうんでしょうけどねぇ。

さてさて、リードトラックとしてMVも公開されました、先日ご紹介したTomorrow Never Diesに続いてSoar発売前から先行リリースされておりました本曲Zero Gravity。

前者が「動」の象徴とすれば、この曲は「静」の象徴なのでしょう。とはいえそこはHR/HM。壮大なバラードではあっても、決して「静か」ではなく、どこまでも熱い珠玉の仕上がりになっております。

それもそのはず、これでもかというほどに暴れてくれるギタープレイは高崎晃!

そんな曲の出来が悪いわけもなく。しっとりと聴かせつつ、壮大に盛り上がりつつ、歌詞に込められたメッセージが心を穿つ。唯一無二の歌声も存分に聴かせてくれるこの曲も、Soarのリードトラックと言って差し支えないでしょう!

HR/HMのバラードはガチの法則

もう何度も何度も申し上げておりますこれ。ホントに迫力ある壮大なバラードを奏でるならばHR/HMしかないんすわ。

誤解の無いように申し上げますと、静かにしっとり終始する楽曲も大好きですよ。そこに貴賤はありませんが、壮大な感動を欲しがっちゃう我々のようなわがままさんには、HR/HMのバラードは鉄板なのであります。

この曲は5曲目に配置されておりまして、楽曲タイトルや雰囲気も相まって、前作Graciaの4曲目Zeroとの対比を感じてしまいます。

まずは静かにピアノとストリングス、アコギで始まり、少しずつメタルサウンドで強化されていき、怒涛のクライマックスを迎えるこの展開。鉄板ですが、だからこそ外れ無し。

圧倒的な声量でとんでもない音を放つ「浜田麻里シャウト」も健在。

いつもいつも、「こんな音まで出るの!?でもここまでだよね、これ以上は…出るんかーい!」

という定番の驚きを見せてくれます。そんな化け物級の歌声と共に襲い掛かるのが、高崎晃のギタープレイですよ。こんなのもう狂気の沙汰。

ギターのフレーズを聴けば誰のプレイか解る!なんていう巧みの耳なんて持ち合わせおりませんが、高崎晃が弾いているぞ!と知ってから聴けば納得。あぁ、あぁ、このギターソロの入り方、暴れ方、高崎晃だなぁこの音!と痛感するサウンドが押し寄せてきます。

この高崎晃っぽい(というかご本人ですが)ギターサウンドが、ヴォーカルと重なる雰囲気、好きなんですよ。ヴォーカルがバリバリサビを歌い上げている裏で、ギターも鳴きまくってくるあれ。この曲もラスト付近で存分に聴かせてくれます。

これだけの迫力を持つ歌声が化け物ならば、ギターサウンドもまた化け物。超一流のHR/HMはいつの日も怪獣大決戦ですよね。

人生の垢も溜まり切った中年に刺さりまくるメッセージ

楽曲の歌詞というのは、作詞者からの想いやメッセージが込められているものとして。それを受け取った我々が、それぞれに受信して、それぞれに解釈して、それぞれの意味を見出すものだと思うんです。先ほども述べた前作のZeroともややリンクして、心にずしっと重い何かが響くような気がします。

何よりまず、「涙がまた少し 空洞になり 重さを失くす」という一節にドキッとしましたよ。涙が枯れるという言葉よく聞きますが、「涙が空洞になって重さがなくなる」という現象。初めて耳にした表現なのに、不思議と深く深く頷く気持ちがありました。

一晩中泣き続ける、なんて表現がありますが、あれは中々に無理ですよね。「一晩中泣くしかないような場面」は確かに在りますが、本当にずっと放水していは脱水になってしまいます。流し続ける涙は、いつしか空洞になり、空っぽになり、そして一時的に枯れて行く。

それなりの年月を生きて、嬉しい事も、悲しいことも、納得いかないことも、怒りに震えることもある中でたどり着く、無常観。そして無情観。

消えることのない「どうしようもないこと」とその中で「どうにかするしかない」という現実。

このどうしようもない「Zero Gravity」の中でどうにかしていくために。自分の中で大事な、これだ!と言えるような「Great Gravity」な何かを握り締めて、離さずに、生きて行くしかなんでしょうねぇ。

自分にとっての「Great Gravity」…なんだろうな。有ったのに、そのために生きて来たのに、亡くなっちゃったもんなぁ!

助けて~ヘヴィメタル!という想いで、今日も音楽を聴いて生きています。皆様お元気ですか?

【浜田麻里の記事はこちら】

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