応援ソングだなんて生ぬるい、鬼気迫る何かを感じませんか？
この曲は、日々を頑張るあなたの背中を押してくれる、応援ソングです。
何だか違うなぁ。
この曲は、迷いながらも歩き続けるあなたの足元を照らしてくれます。
やっぱり違うなぁ。この曲の紹介文として、こんな生易しい表現は、どうにも違う気がする。
困難を乗り越え、何等かの到達点にたどり着いた先駆者が、極みに至ったゴール地点からから応援してくれる、というイメージとは大分違う。
今尚、自身こそが苦しみ、もがき、到達点を模索しながら邁進している。今尚、自身こそが最前線で泥にまみれている人達の決意や覚悟が漏れ聞こえている、というようイメージ。
楽しく明るい曲とMVとは裏腹に、闇をも飲み込むほどの強い何かを感じる。
東京ゲゲゲイのYes or No。
この曲が力を与えてくれることは間違いない。自分だってやってやるぞ！と思わせてくれる。けれど、それだけでは留まらない、もっと泥臭い現実と戦う日々が、見え隠れするような気がするのです。この曲の向こうに、皆さんは何を見出すでしょうか。
軽快で心地よいエンタメと、見せ付けて来る圧倒的な「背中」
このMVの演出、ノリ、エンタメとしては、実にポジティブで華やかなイメージですよね。ほとんどワンカットで撮影されている作り、するすると流れて行く映像、心地よい音、映えるダンス。ダンスに疎い自分が見ても、エンタメとして実に軽快に楽しむことが出来る。
そんな軽快にエンタメに載せられるのは、ある意味では優しく応援するような歌詞。けれどよく聞くと、じっとりと重い、湿度のような物も感じます。
あなたにも経験はないでしょうか？
「大丈夫？頑張ってね！」「応援してるよ！」「力になれることがあれば言ってね！」なんて、目に見える優しさをもって「外側」から掛けられる言葉。
そこに何の価値も見い出せない場面。
あー、はい、そっすね、どうもっス。という感想しか浮かばない瞬間。
それが全て悪いとは言わないし、それが力になることもあるのだろうけれども。大して関係値も無い、よく知らない人に「頑張れよ」なんて言われても、ふーん、だよね。
自分と同じ仕事をしてる人。それも自分よりも能力があって頑張っている人が。自分と同じことに悩み苦しみ、「きっとこうすれば上手く行くと思うんだよなー。自分はちょっとこれで頑張ってみるわー。お互い頑張ろうや」なんて言われたらどうだろうか？
大分受け取り方は変わってくるかと思う。不思議と自分にも力が宿らないだろうか？
この曲からは、誰よりも苦しみ、悩み、それでも自分なりの答えを見つけながら、今も尚突き進んでいる人から出る叫びのような。そんな印象も受けるんですよ。
東京ゲゲゲイのみんなが、円陣を組み奮い立たせている声が、こちらにも届いているような感覚。
さぁみんなも頑張ろう～！なんて軽いタッチではない。自分達が今正にめちゃくちゃに頑張っている背中を見せ付ける。そして問うんだ。さぁ、君はどうするんだい？
Yes？ or No？ 決められるのは自分しか居ない
正解はどこにもないから、正解にしていくしかない、という言葉が出てきますね。
解ってはいても、ついつい正解を探してしまう。これはもうヒトの修正なんでしょうか。
人生を豊かにするライフハック〇選！
それは間違い！？正しい〇〇の仕方！
〇〇を成功させる10の秘訣！
あたかも何かの「正解」であるかのような情報が、今日もあちこちでもてはやされていきます。いつも姿の見えない不安に駆られる我々は、ついついそうした情報を摂取しては、一喜一憂してしまう。
その時その時に、正解っぽい事、間違いっぽい事は確かに在る。在るには在る。けれど、歌詞も、曲展開もそうであるように、全ての物は転調の繰り返し。何もかもが変化し続けていく。
そんな中で、誰もが常にYes or No？を繰り返して行くしかない。
どれだけ背中を押され、後押しされても。最後はYes or No？という判断が必要になる。そしてそれは、自分自身がやるしかない。誰かには任せられない。全ての責任は自分が追うしかない。オトナなら誰もが痛感している、人生の基本ルール。
ただ、この言葉だけを取り上げると、重圧や冷たさを感じてしまう。自分は自分、他人は他人。ともすれば断絶してしまうような、そんな言葉。
なんだけれども、やっぱり何だかこの曲は不思議な優しさがあるような気もする。偉そうな上司が「お前はどうしたいんだ？言ってみろ」なんて言うような、突き放す雰囲気ではなくて。
そうだなぁ。ひどく妄想するならば…
静かなバーみたいな場所で、東京ゲゲゲイのメンバーが飲みながら。
自分達はこんなこと考えていて、こんなことをやっていて。それで、これからはこんな感じでやっていこうと思ってるんだー、なんて笑い話をしているわけよ。
そして一呼吸置いて。マイキーがグラスを持って、微笑みながら静かにこう聴いてくる。
「それで…あんたはどうするつもりなの？」
そんな曲になっております。伝われ！なんとかなれ！
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