【やっさっさ_Phantom Excaliver】元旦公開のMVで新体制移行まで発表するという偉業

Phantom Excaliver

新体制への変化をMVで表現しちまう離れ業!

この楽曲、MVが公開されたのは2023年の元旦のことでした。元旦からMVを発表してしまう、ということは他でもやられていますが、なによりヤバいのは長らく続いていたメンバー編成が変わる、というバンドとしての一大事を、MVをもって発表したということ。

しかも、そのメンバー交代がMVの中で表現されているんです。自分が知る限りは史上初。

良い曲だなー、なんて思いながらMVを見ていたら、ですよ。

物語が展開されてね?

新キャラが登場してさ。

しれっと演奏メンバーが変わるの。

あれ?と思うでしょ。

そしたらメンバーチェンジだ!って言うじゃないの。

この一連のムーブが、MVの中でも、SNSの中でも、とても前向きなイベントとしてメンバー全員で消化されたことが一番の驚きでした。こんな最高な兄ちゃん達、推すしかないでしょう!?そんな決意を新たにさせられた、珠玉のMVを是非。

また一段、ギアを上げて繰り出された必殺曲

彼らのことをご存知ない方もいらっしゃるはず。とにもかくにも、まずはその楽曲について耳を傾けたい。

今回も彼らならではのヒロイックなギターサウンドで幕開け…なんだけれども。いつもと少し雰囲気が違う。楽曲を最後まで通して聴くと、今までには無かったヘヴィネスさをひとつまみ加えたような新しい旨味を感じることが出来ます。

メロスピだぜぇ!という音に、ラウドでモダンな雰囲気が追加トッピングされたような。今まで通りの美味しい音を用意しましたよ、では留まらない。ちゃんと進んでいる、新しいステップを踏んでいる、という確かな軌跡が見えますねぇ。

そして開幕から、かっちゃんのデスヴォイスではなく低音めのガチ歌でスタート!良いよ良いよ、それよそれ。なにかと歌声は高音に寄りがちなメタル界隈。このエッセンスは強力な武器になると思うのですよ。

かっちゃんの低音とデスヴォイス&シャウト+マツのハイトーン+全員の合唱感。一曲の中にしれっと様々な歌声を放り込んでいるけれど、これってどのバンドでも出来るわけでは決してなくて。この手数の多さ=楽曲の引き出しの多さよ。

ヒロイックなイントロからサビまで走り抜けて、そこから重さをまとう中間部へ。ここの雰囲気、モダンな重さが実に良く、新しくひとつまみ加わった旨味に感じるわけです。

ここで一瞬ヘヴィネスさに振り切ったと思ったら、そこから二段階のギターソロを差し込んで一気に「毎度お馴染みファントム節」へと持っていく素早さ。

そして最後の最後、みんなで合唱して終わりかと思いきや、かっちゃんのシャウトで〆る。ぐっと引き締まるし、カッコイイし、中間部から登場したリフをまとうことで、オープニングとはまた違う、一段重厚さを増したヘヴィメタルで締めくくる。

これまでも趣向を凝らした楽曲展開は有ったけれども、今回は3分半にも満たない短い楽曲の中にふんだんに盛り込まれた展開の妙。

これ、バンドとして、楽曲として、一段ギア上げて来たな?

こういった雰囲気のバンドにありがちな。ぱっと見のMVの「わー!面白ーい!バカやってるー!(もちろん褒め)」という楽しさや解りやすさの裏で、しっかりしこしこ楽曲を磨き上げて来るスタイル。

新体制を迎えた彼らがどんな楽曲を聴かせてくれるのか。元旦早々、楽しみを与えてくれたことに感謝です。

楽曲の他にも、言いたいことがたくさんあるんよ!

と、真面目に楽曲を聴かせてもらったところで、良い意味で「言いたいことがたくさんあるぞ!」と叫びたくなるMVだったんすわ。

やっさっさって!元ネタは…あれっすよね?「大合唱のご準備を」って告知されていたメッセージの意味は、そういうことであった、と。中学くらいの頃に全クラスが参加する合唱コンクール的なイベント。あれって全国全時代共通なのか解りませんが、「やっさっさ」というフレーズに聴き覚えのある方、いらっしゃるでしょう。

でね。どうしたってMV撮影する姿を想像しちゃうんですよ。元旦に公開、ということは冬真っ盛りの季節にこの衣装で撮影したわけで…楽しそうに見せてるけど、実はかなり過酷なロケでしょ?これ。

バーベキューっぽい一幕でもさ。肉を焼いたり、食らいついたり、「こういう場面を撮影するぞー」というシーンを「演技で作っていく」という中で一瞬見える素の表情に、なんかほっこりしちゃう。大変さとかの裏にしっかりと「とはいえ楽しい!」が在る。そんな姿が見えて来るのは実に尊い。

普通のテレビとかなら「この後、食事はスタッフが美味しくいただきました」的なところなんだろうけども。彼らの場合はその場でそのままみんなで美味しく頂いてそうなところが、また良いよね。そのせいで撮影スケジュール押すまでありますよ、彼らならね。

そして肝心のメンバー交代に当たる部分。中盤から現れる悪役のお方…がドラムやるんかい!この方、ちょこちょこ以前から悪役でMVに登場してきたファンにとってはお馴染みの方。この人ドラマーだったの!?メンバーになるの!?ってか何者!?と我々の頭は知恵熱寸前でした。

更に急に現れた新たな精霊的な人…がベースやるんかい。しかも自分と同じ左利き!?勝手に親近感が湧いてしまいますわ。

ホントにさぁ、クソ真面目だよなぁ(褒め)。実際の所は本人達にしか解らないけれども、状況だけ見れば、とてつもない苦境とも受け取れてしまう現状でしょう。

すっかりそれが普通になってしまったけれども、当時感染症の影響はライブ活動が主戦場のバンドにとっては逆境でしかないでしょう。面白おかしく顔にソースとか塗りまくっているけど、メンバー変化(つまりは旧メンバーの脱退)だって、どれだけダメージが大きいか想像もつかない。

それでも、好きなことなんだから。楽しいんだから。せっかくならば面白く。どうせならばみんな笑顔でやろうぜ!ってさ。正気か?ジャンプ漫画のヒーローか?

そしてそれが上っ面だけの想いでも、無理矢理で強引な想いでもないということは、音楽や活動を見れば伝わって来る。メンバー脱退という状況だけを見たって、彼らの関係性が良いことはMVを見れば解る。そうじゃなきゃ、脱退するメンバーと一緒にこんなMVは撮れないよ。

MVの最後の方で、悪役のお方も含めて全員が乾杯をするシーンが一瞬流れる。あの雰囲気のまま、彼らはそれぞれの活動を続けていくんだろうなぁ。

最後まで、どんなことでも楽しんでみせてしまう奴には、誰も勝てはしない。

自分よりも若い彼らの姿は、いつも多くの物事を与えてくれるんです。彼らの頑張る姿に、勝手に自分も投影しながら。今日もみんなでやってやろうぜ!と決意を新たに進んでいく。それがメタルの正しい摂取方法ですよ。

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