「10周年」と「北米ツアーへたどり着いた」という2つの偉業
活動10周年で北米ツアー。
言葉にしてしまえばほんの1行だけれども。凄いよなぁ。凄い事だよなぁ。なんて、今更にも噛み締めてしまう今日この頃。
私がBAND-MAIDがすげぇぞ!と気が付いたのは比較的活動の後期から。決してコアのファンとは言えず、もう「にわか」も良いところではありますが…
音源は買っていたし、メタル系の雑誌等に掲載されていた彼女達を目にしていましたが、もう10年にもなるのか。そして北米ツアーなんて、出来るまでになったのか。凄いことですよねぇ。
10年間物事を続けるって、凄いことですよ。それだけでも本当にスゴイ。「〇周年」という言葉はあちらこちらで耳にするけれども、それだけ続くことって、それだけでも価値あることだよなぁ。なんて、たかが40年ぽっきりですが、生きて来た中年の身には染みるものがあります。
しかも、その活動が成功して、海外にも広く認知されて、北米でツアーですってよ。しかも、恐ろしい過密スケジュール。
ライブをこのペースで演るだけでもドチャクソハードなのに、北米の地で、ですからねぇ。
いや、ホントに…凄いなぁ。何回「スゴイ」と言っても足りないですよ。
何だか感慨深い、そんな気分になる時は、こんな曲調がぴったりハマる。最新の楽曲Memorable。勝手に自分自身のこの10年の道のりにも想いを馳せて。正に思い出深い気分に浸れる、良い曲です。
貫禄すら現れ始めた歌声
初めてこの曲を聴いた時の印象はこれでした。
うそ…歌声えぐっ…
BAND-MAIDのヴォーカルと言えばSAIKI。歌唱技術を全面に押し出して来るタイプでも、圧倒的な歌唱力にものを言わすタイプでも、特徴的な声色で魅了するタイプでも、無い。「解りやすい突出した飛び道具的な要素」で戦うというよりも、堅実に積み上げた実力で勝負するタイプ。
非常に真っすぐで、大人びてもいるような、どこか幼さも感じるような、澄み切っているようで力強さもあるようで、それでいてBAND-MAIDの楽曲を表現するならばこの人しか居ない、と確信出来るような歌声。
そんな歌声が、その方向性のままに正当進化を遂げた様が見られるのが、この楽曲ではないかと思うのですよ。
私は英語なんて話せないのでね。英語の発音の機微なんて解らないけれど。英語の発音とか、言葉とか、というよりは「音楽として」。すっと違和感なく届いてくるというか、世界中で普通に英語で歌われているHR/HMの雰囲気そのものというか。
あぁ、もう焦点を合わせているのは「日本」だけでは無いんだなぁ、と感じますね。
そして、バラードに類するようなこの曲を、Memorableという「10周年」の重みを乗せたこの曲を、ずっとりと歌い上げる胆力というか、なんというか。語彙力がなくて申し訳ないけれど、歌声に貫禄が出て来たな、と思ったのです。
バンドである、ということの意義
そうは言っても、「いい歌だよねぇ」なんて浅い感動では終わりません。だって彼女たちはバンドなのだから。
石碑に刻んででも後世に伝えたい事実、「HR/HMはバラードこそ至高」という名言の通り、この曲が素晴らしい由縁は「バンドだからこそ」ですよね。
オープニングから歌声と寄り添うアコギの音。素晴らしいですよ。アコギってぇのは、この弦を移動する時の「きゅぃっ」ていう音も含めて音楽ですよね。
アコギの音がバンドサウンドの中に埋もれてしまいそうな瞬間も、この「きゅぃっ」という音こそが欠かせないアクセントになっていたり。当然計算されているのでしょう。
そして合流するバンドサウンド。温かみのあるベースの音色は、青空のような爽やかと、どこか過ぎ去った10年を想起させる涼しさを持ったこの楽曲に、ほっこりとした優しさを加えてくれます。
アコギの「きゅぃっ」音と共に要所で響くリムショットの音は、ノスタルジックな雰囲気もバッチリと演出。
そして、変態ギタリスト(激褒)KANAMIの犯行がそこかしこで光ります。
HR/HMでは欠かせない、旨味成分たっぷりのギターソロを聴かせてくれるのはもちろんなのですが、アコギを中心に据えた楽曲の中で、要所で要所で欠かせない「楽曲の修飾符」を配置してくれています。
2回目のサビの入りとか、絶妙なひとさじですよねぇ。本当に技巧派です。そもそも技巧派でなければHR/HMなんて創れませんからね。
音楽として、バンドとして、丁寧に丁寧に活動を続け来たことが、この素敵な10周年を迎えたことの秘訣なのでしょうね。
いやぁ…凄いなぁ。(ホント何回目だ)
それに引き換え、自分自身のこの10年は…全然スゴクない。うん、見なかったことにしよう。
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