【地獄の暴走列車_SEX MACHINEGUNS】燃えて、笑って、最後に泣ける、珠玉のエンタメ

SEX MACHINEGUNS

25周年且つ約5年ぶりに放たれる傑作アルバム

2023年4月12日。遂にこの日がやって参りました。日本のメタルバンド、ひいては「ジャパメタ」の旗を掲げることが出来るバンドとしては、彼らが代表格と言っても良いでしょう。SEX MACHINEGUNSの約5年ぶりとなるニューアルバム「地獄の暴走列車」が発売となりました。

彼こそがSEX MACHINEGUNSその人、ギターヴォーカルのANCHANG。

爆上げテンションと秘めたるポテンシャルは未知数、ベースのSHINGO☆。

爆発的なエネルギーを持つ、昨年新規加入したドラムのTHOMAS。みんな、THOMASはいいぞ?

そしてサポートを務めるのは元初期メンバーのSUSSYという、最強激エモ編成ですよ。

いやー、めでたい。

今自分が生きているだけで奇跡なこの世界線。

「推し」が「活動している」上に「新譜」まで出してくれることがどれだけ尊いことか。

聴けば解る、メタラーならば大満足間違い無しな仕上がりとなっておりますが、この喜びを少しでも皆さんと共有したい!ということで、まずはアルバム全体を楽しんで参りましょう。

ハイライトムービーがYouTubeに挙がっておりますので、雰囲気だけでも先に知りたい方は是非。SEX MACHINEGUNSは今尚健在、というよりも進化の只中でありますよ。

1.震え

なんとまぁ、オープニングからこいつですよ!あのSUSSYが作曲、ライブのMCから誕生したという「震え」がオープニングを飾ります。

楽曲のステータスだけを見ると、「飛び道具枠か?」と思ってしまいそうなこの曲。いざしっかりと聴いて見れば、なるほど、この曲こそオープニングアクトに相応しい!と納得です。

ふ・る・え~!はもうオーディエンス含めた全員でシャウト間違い無し。ザックザクのギターリフと爆裂メタルに乗せて温まった体に放たれる歌詞は、「これから始まるやべぇ何かにワクワクして止まらない武者震い」と来れば。

約5年ぶりに発表されたこのアルバム。緊張とドキドキとワクワクの中で再生する我々の心に対して、1曲目から完全に一心同体、シンクロ率400%に持って行ってくれます。

文字通り、こっちも震えが止まらねぇっすよ!

2.燃えろ!!ジャパメタ

先行で発表された楽曲で、このアルバムのリードトラックと言って良いでしょう!「日本のメタル」という意味合いを越えた、今やひとつのジャンルと言えるほどに個性・特性を強めた「ジャパメタ」を背負って立つ覚悟が感じられる傑作です。

「ジャパメタ」とか「ヘビメタ」という言葉には少し抵抗感もあった若かりし頃の自分ですが、様々なメタルを聴くほどに「ジャパメタが持つポテンシャル」を感じずにはいられません。そんな中で、あのANCHANGが、ジャパメタという旗を掲げてくれることの意味よ。尊みが過ぎるわ。

そんなこの曲、イントロの走り出しはみんな大好き「みかんのうた」と同じやり口。ギターサウンド、ANCHANGの歌い方、楽曲全体が、どこか原点回帰という言葉を感じさせるような骨太の仕上がりです。いや、原点回帰というよりも、決してぶれない芯を確認しつつ、着実な進化を見せ付ける王者のムーブですね。

必殺のギターソロに突入する部分のアツさはアルバム随一で大好きです!

このギターソロの入り部分。新メンバーのTHOMASを含め、バンド全体が「必殺の間」を探りながらぶち上げて行く様は圧巻のひと言です。

3.SHINIG STAR

パチンコ「巨人の星」シリーズへ楽曲提供した熱血ソングその壱ですね。SEX MACHINEGUNSとしても大分お馴染みとなりました巨人の星シリーズ。イントロからしてその世界観はマシマシです。

提供した楽曲ということもあってこの曲もまた激烈なパワーを持っております。巨人の星シリーズに一貫して持たせているイメージの通り、「っぽさ」全開のギターサウンドが実に癖になります。

「輝く星」、そう、「巨人の星」を目指して一心不乱に突き進む、どこまでも真っすぐな王道スポコンソングでもあるこの曲を聴けば、あなたの身にも力が溢れること間違い無し。

個人的には、「巨人の星」の時代を少し感じさせるようなムーディさを持ちながら暴れ回るベースプレイがとても好みですねぇ。

4.ワクチン

これまた、やってくれますよねぇ、ANCHANGは。タイトルを見れば、もう誰でも解る。日本全国民どころではない、世界各国の誰もが同じイメージを連想して共有出来るのではないでしょうか。それほどにここ数年間に世界にのさばった「この数年間特有の情勢」を実に彼ららしいパッケージにまとめた一曲。

私はこの時代を中年として過ごしたわけですが、恋愛世代に直撃となった方々は、やはり様々な想いや空気感があったのでしょうね。いや、もちろんこの曲そのもののような「出来事」が有ったかどうかは別ですがね。

ソーシャルディスタンスやら3密なんて言葉が台頭してしまいましたからね。ただでさえ難しい恋愛における幾つもの壁に、果たして何枚の壁が増設されてしまったことやら…

今この時期、このタイミングだからこそ、やんわりと摂取出来る内容なのだろうな、とも思います。真っ盛りの時期では、中々この曲は出しにくいだろうなぁ。

5.POWER & METAL

パチンコ「巨人の星」シリーズへ楽曲提供した熱血ソングその弐ですね。

その走り出しは過去作ヘビーメタルサンダーを彷彿とさせます。こういう始まり方は王道的であるからこそ、その魅力も約束されていますよね。アガること間違いなし。

この曲はとにかく圧倒的なツーバスと高速刻みでぶちかましに来ます。これはヘドバン不可避。一方で、攻め一辺倒ではなくしっかりと緩急を付けて来る巧みさもあり。ひょっとして、我々の頸椎を労わってくれているムーブなのか??

全編通してタイトルの「POWER & METAL」が示す通り、メタルによって圧倒的なパワーをもたらしてくれる、至高のバフソングとなっております。

三千光年離れてもあなたは燃えている 燦然と輝くため戦い続けろ!

これで熱くならないやつぁメタラーじゃないよなぁ!

6.唇な男

いや…さぁ、この時代に大丈夫なのかなぁ?と思っちゃうよね。ホントに彼らは全くぶれない。いつの日も常に進化を魅せてくれる代わりに、「変わらぬ姿」も見せてくれる。

2曲前の「ワクチン」で、散々キスやら何やらというワードを聴かされた我々にとって「唇な男」というワードは完全に盲点。死角。油断しまくって弱点丸出しガードがら空き状態なワケですよ。

みんな、思ったよね?

次は「唇な男」…かぁ。(頭の中にはどちらかというと異性的な唇のイメージ)

初回では聞き逃してしまいがち、初っ端から馴染みのある男の名前が登場。

まさか…これって…まさか…?

「唇の男」って、そういうことかい!

初めは歌詞カードを見ないで楽しむ派の方は、ほぼ全員が同じ体験をしたのではないでしょうか。くそっ!またやられた!こちらは完全にANCHANGの手の平の上だ。

でも、これだけ面白い展開なのに、楽曲の展開もまたバチクソカッコいいんですよねぇ…

7.魚の気持ち

先ほどの「唇の男」に続いて、もう嫌な予感しかしないんですよ。聴いてる側からしたらね?そしてオープニングからバックに響き渡るシャウト。

「フィーッシュ!」って言ってるよな、これ。もう歌詞については完全にANCHANGワールド。常人には付いていけない、別世界へ飛んで行ってしまっている。

それが楽曲はどうよ?明らかに「ベースを楽しんでくれよな!」という有難過ぎるターンが用意されているし、ギターソロとかマジでどうなっちゃってるの?こんなカッコ良いフレーズを、「魚の気持ち」なんてぶっ飛んだタイトルの楽曲に乗せちゃって良いの?

後半では「Uh-Oh」って、うおか。魚なのか。ラストはハマチ!か。もう降参ですよ。こりゃあもう彼らにしか創れない世界ですよ。要は、大満足の仕上がりってことです。

8.ポ

ここまで来て、このタイトル。更に作曲はSHINGO☆。(良い意味で)まともな曲なんて来るはずがないですよ。これはもう予感ではない、確信です。

確信してたけど…マジか!?

予想の完全に斜め上を行く、あたおかレベルの世界観。メタルの楽曲を聴きながら、クイズ的な何かに参加したの、人生で初めてですよ。

しかしこれ、実に巧妙に、考えて作られている気がしますね。ライブ用の楽曲として、ですよ。ライブ中の一幕として、待ってましたのSHINGO☆タイムに持って来いです。そして「ポ」が付けば良いわけですからね。色々なお題を用意出来るわけで。会場全体で楽しめる、楽曲というよりもライブコンテンツですよこれは。

もう当然だから言う必要もないとは思うのですが、音も超絶にイカしてるんですよねぇ。

9.メタルタックスマン

こちらお馴染みメタル〇〇マンシリーズで、比較的前々から発表されていた楽曲ですね。

軽減税率!の小気味よいブレイクからの、メタル〇〇マン!というこれもまたお馴染みのフレーズ。ここへたどり着くまでの直近のアルバム展開からしても、何だかちょっとホッとするような気持ちでこの曲を迎えたのは私だけではないはず…

とはいえ、楽曲の中にラップ?ターンが用意されている上に、そこで軽減税率の具体的な事例について説明されているあたり、これもまたぶっ飛んだ楽曲なんですけどね。すっかりこちらの理性は麻痺しているんでしょう。安心して聴けてしまいます。

しかしまぁ、一時期は軽減税率だなんだとあれだけ騒がれていたのに、喉元過ぎればなんとやら。それはそれとして、普通に運用されているところが実に日本らしいですよね。

10.The grave

タイトルの「The grave」というフレーズに違わぬ、不穏な空気を纏いド迫力のイントロにぶん殴られた瞬間に、「あれ?」とハシゴを外されるこの曲は、なんと映画「老後の資金がありません!」で一部歌唱されたそうで。

これまたSEX MACHINEGUNS「らしさ」全開の歌詞になっておりますよ。ぱっと見はコメディ感に溢れて気軽に飲み込める言葉達なのですが、その奥にはしっかりとした味わいのあるメッセージやリアリティが込められている、いつもの神業ですよ。

そんな世界観に油断めされるな?ラスト前の10曲目に配置されたこの曲。音としても正気の沙汰ではないくらいの力を持っています。オープニングで確かに感じた「この曲はやべぇ!」という期待を裏切らない、要所で爆裂する必殺のメタル。

歌詞の世界に油断していると、超絶ギターソロで〇されるぞ?

11.廃屋

エンディング!クライマックス!という雰囲気を漂わせるヒロイックなギターで幕を開けるこの曲でいよいよアルバムも終焉を迎えます。

てかね、年甲斐もなく泣いちゃったよ!

実際にどんな意図が込められているかは本人しか知らないことではあるけれど。それなりに長い時間生きて、頑張って、壮絶な苦しみも味わってきた人には、問答無用で刺さるんじゃないだろうか。勝手に自分の境遇とも重ねてしまいました。

一見すると廃屋かも知れないけれど、そこには確かに家がある。想いも歴史も詰まっている。幸せや輝く世界は確かにそこにあったのだから。形は変わっても、その輝きは取り戻せるんだろう。

SEX MACHINEGUNSは25年間走り続け来たけれど、苦しい場面もあったでしょう。メンバーや形も変わって行ったし、一時は『SEX MACHINEGUN』名義になった日もありました。

そして今現在。SHINGO☆はもはや鉄板メンバーという存在となり、若き力溢れるTHOMASも加わってくれた。形は変われど、SUSSYだって居てくれる。このアルバムを発表したSEX MACHINEGUNSは、間違いなく輝きに溢れているでしょう。

SEX MACHINEGUNSを廃屋だと思ったことなんて一度もないけれど、バンドという屋号を背負い、その時代に併せてメンバーの変遷も経ながら一線で活動を続ける様は、リフォームを続けながら建屋を守り抜く、そんな姿に似ているのかもしれませんね。

燃えて、笑って、最後に泣ける、完成されたエンタメ

正直、ちょっと油断していました。近年のSEX MACHINEGUNSはそれなりに動きを追っていたつもりでしたし、先行で発表された楽曲も多かったので、待望の新アルバムとはいえ、「大体こんな感じでしょう」という油断がありました。

結果はホントにこれ、最高に熱く燃えて、楽しく笑って、最後に涙してしまいました。

25周年を迎え、ANCHANGも近々53歳を迎えますが、その歌声も、ギタープレイも、全く衰えることを知らず。SEX MACHINEGUNSというバンドに至っては、熟練の技を持つSUSSYに若い力まで加わっている、隙のない鉄板構成。

更には「ジャパメタ」という言葉を掲げて今尚多くを背負って立とうとしている姿は本当に力強い限りです。

確かな実力と骨太のメタル。

歌いたくなるような歌メロを大事にするスタイル。

三枚目に回ることをいとわない漢気。

「ジャパメタ」という言葉を聴いて連想する偉大アーティストはもちろん数あれど、その中の大きな割合を背負ってきたのがSEX MACHINEGUNSであり、そしてこれからも彼らが背負って行ってくれるような、勝手な期待を持ってしまいます。

そんな想いを確かにした、素晴らしいアルバムでありました。

【SEX MACHINEGUNSについての記事はこちら】

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