Ghostのカバーは神々の遊び、みんな知ってるね?
Ghostが新しくMVを公開してくれましたよ!これでまたひとつ、人生に彩りが添えられますよ、ありがとうございます。
特に最近は、Ghostは…Ghostだ!という路線を突き抜けて来た彼ら。デビュー当時はもう少し解りやすく、ドゥーミーなメタルと表現し易かったのだけれど、近年はスタジアムロックとでも言いましょうか、古き良き薫りを身に纏い、且つ先鋭的な薫りを漂わせたロックを演っておりますね。
オリジナル楽曲が素晴らしいことは当然として、Ghostと言えばcoverが秀逸であることはお馴染み。オリジナルアルバムにボーナストラックの形でcoverが収録されることが多いのですが、そのどれもこれもが素晴らしい出来なのです。
原曲はしっかりとリスペクトし、原曲の「原曲らしさ」はしっかりと維持。
けれども「それ、単に演奏者が変わっただけじゃないか」という程度のcoverには留まらない。
Ghost風味のスパイスがたっぷりと振りかけられた結果、しっかりと新しい作品に仕上がっている。
これですよね。何も考えずに耳にすれば確かにGhostの楽曲になっているんですよ。どこからどう聴いてもGhostの曲だ!と言わんばかりの主張がありながらも、原曲から乖離し過ぎることもない。素敵なcoverのお手本のようなやり口。
Here comes the sun
Avalanche
It’s a sin
どれもこれもが素晴らしいcoverでした。そして今回のPhantom Of The Operaもまた、素晴らしき仕上がりになっておりますよ。
原曲はこちら
原曲の持つ圧倒的なポテンシャル
そもそもがこのPhantom Of The Operaという楽曲がヤバいです。Iron Maidenのデビューアルバムに収録されているプログレ味溢れる良曲。こいつがGhostの禍々しいオーラを纏ってver upしてくるわけですね。
とにかくメインのフレーズが旨い!
強烈にエネルギーを放つのが、オープニングからエンディングまで、何度も何度も繰り返されるリフとも言えるようなフレーズ。
ギター、ベース、ヴォーカルまでもがユニゾンして繰り出してくるこのメロディ。これがこの曲の代名詞と言いますか、この音を聴くためにこの曲を聴く、と言っても過言ではないでしょう。それまでにインパクトがあるフレーズが、丁寧に丁寧に積み重ねられていきます。
場面転換が心地よい!
旨味成分たっぷりのメインフレーズを堪能していたと思っていたら、気が付いたら全く景色の違う場所にたどり着いている、というこのタイプのメタル楽曲あるある。
いわゆる様式美であったり、プログレ感であったり。1曲の中に数曲分の聴き所が詰まっているかのように、めまぐるしく展開していく楽曲の濁流に身を任せるのが本当に気持ち良いのです。
メインのフレーズ→多彩な場面転換の中間部→メインのフレーズ、という隙の無い流れ。
今となっては「鉄板の展開」ではあるし、メイデンらしいなぁ!という感のあるこの構成ですが、この原曲は40年以上前のデビューアルバムに収録されていたという驚愕の事実。
全編に渡ってベースがたまらん!
ベース好きにはたまらない、ベースが美味しい喫茶店…(古っ)じゃなくて、メタルとなっております。
メインのフレーズにもしっかりとユニゾンしてくるし、そこかしこで低音がしっかりとうねってくれるし、ベースソロ的な、ベースをしっかり楽しめるターンがしっかりと用意されているこの曲は、ベース推しにぴったりの曲でもあります。
3:30頃~の展開ですね。
はじめはベース単体でリード。
続いてギターと共に高音部でのユニゾン。ベースで高音、という定番の美味しさを発揮。
その後は一気に後ろに引けば、低音部でゴリッゴリの旨味が炸裂。
更にギターソロのバックではバインバインとこれでもかと王道のベースサウンドが爆裂。
ベースの旨味の宝石箱や~!と言わんばかり。これはベース好きは感涙ものでしょう。
さらっと「Ghostの楽曲」に仕上げて来る巧みさ
このように素晴らしき楽曲であるPhantom Of The Opera、ここまでは当然「原曲も持っている良さ」であります。
これをGhostがcoverするからこそ生まれる素晴らしさ。
こそが、この曲で楽しみたいポイントですよね。
語彙力の無さを恐れずに申し上げるのであれば、全編を通して「ハッピーパウダー」ならぬ「Ghostパウダー」が散りばめられておりますね。どこを切ってもGhostの味と香りが漂ってくる。けれども芯には当然Iron Maidenが居る。この不思議なマリアージュ。
なにはともあれキャッチーなのはその歌声ですね。粘り気が有り、死や闇のような黒い薫りが漂う陰鬱な歌声。けれども決して不快ではない。むしろ不思議なPOPさすら感じてしまう。
更に、全編通してギターの音色に秘められたGhost味。どこか陰鬱で、どこか翳りが見えるような。朝や昼、青空ではない、夕闇や真紅の夕焼けのような薫り。
そしてガッチリしっかりと支えるベースですね。Ghostと言えばベースの旨味。ガシガシチョッパーで攻め立てるでもなく、超高速で高音を駆け巡るでもなく。シンプルなベースの立ち位置から放たれるサウンドには涎が止まりません。
Con Clavi Con Dioのイントロなんて、たまりませんものねぇ…
その音作りの真髄など、素人の私には理解出来る術もありませんが、本当に絶妙なんですよ。外からぱっと見た外観はすっかりGhostの楽曲に変貌しつつ、その中身は変えていませんよ、的な。
Iron Maiden的楽曲にGhostの風呂敷を一枚ふわりとまとわせたかのようなバランス感覚。
こういうcoverは実によきです。原曲を知る人も、知らない人も楽しめるし。原曲を知らない人がcoverを聴いて「すげぇ!」と喜び、原曲を聴いてそこでも「すげぇ!」と喜べる。
coverやアレンジは好きなんだけど、原曲を聴いたら好みには合わなかったなぁ…アレンジされた部分が好きだったんだなぁ…という、あのちょっとした残念な気持ちが発生しないのです。
7分を超える長尺の曲ではありますが、メインのフレーズに中毒性があり、展開も多様な事も有って飽きの来ないこの曲。一度聴き終わっては、もう一回、もう一回聴こう!というおかわり必須な名曲となっておりますのでね。初夏の行楽のお供に、是非。
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