【風に吹かれて_エレファントカシマシ】ロックで哀愁を漂わせたら世界一

エレファントカシマシ

大人には、エレカシを聴かなければならない「瞬間」がある

エレファントカシマシ。日本のロックバンド。彼らが放つサウンドはロックであり、歌詞に載せて綴られる言葉は唯一無二の魅力を持ちます。もう、皆様ご存知の通りです。

時に明るく、時に激渋に展開される楽曲の中に鎮座するのは「色気のあるギター」であり、素晴らしいロックであることに疑いはなく。ある程度の年齢を重ね、社会の中で戦った経験のある方にとっては、刺さりまくる言葉達が襲い掛かる。

日本最強の社会人キラー、と言って差し支えないのではなかろうか?

そんな彼らの楽曲の中でも、個人的に1~2を争う破壊力があると思っているのがこの曲、『風に吹かれて』であります。異論のある方は少なかろう。

まずはこのイントロの音ですよ。なんですか、この琴線に触れる激渋ギターは。フレーズとしてはシンプルでありながら、とてつもない旨味をもつこのサウンドは、ことライブになればこの破壊力は100倍増しになります。

この100倍という表現が決して大げさではないことは、エレカシのライブ経験者の方ならば解っていただけるはず。ライブになった瞬間に、彼らの音楽は本当にえげつなくなります。

この曲、時にはピアノアレンジのソロ歌唱スタイルでお送りされることもありますが、それもまたとてつもなく魅力的なんですよね。音として、音色として、既に魅力がMAX状態であるのにも関わらず、そこへ至高の歌詞が載って来るわけですよ。

何度この曲に琴線をぶん殴られたことか。何度この曲の染み渡る薫りに救われたことか。まるでパブロフの犬のように、条件反射のように。この曲を聴くだけで、泣きそうになる大人になりました。

本当はこのままで、何もかも素晴らしい「のに」

彼らの楽曲に関わらず、楽曲を聴いて何を想い、自分の中でどんな想いを再生していくかは、聴く人の数だけ異なるものでしょう。この『風に吹かれて』を聴いて感じることも、想うことも、注目したくなる部分も、ひとにより様々ではあるのでしょう。

そんな中で、私の心に最も突き刺さるのはこの言葉。

本当はこれで そう本当はこのままで 何もかも素晴らしいのに

この曲を聴く度に、そうだよなぁ…本当にそうなんだよなぁ!と深く深く頷くのです。

そりゃあ、世の中には苦しみも哀しみも溢れていますよ。自分の中にも問題は山積み、将来への不安、現在への不満。怒りも諦めも溢れています。なんでこうなんだ。どうして自分の人生はこうなんだ!とついつい嘆かずには居られません。

それでも、とりあえず自分は生きているんですよ。食べる物はボチボチ美味しい。

青空は綺麗だし、鳥はちゅんちゅん言っているし、雨も、夜も、それぞれに趣きもある。

街を歩けば人々は笑っているし、数えきれない人達とすれちがい、それぞれが生きている。

どうやら、少なくとも今の自分の目が届く世界は平和、それなりに素晴らしいようなんです。

例え人類が滅びてしまっても、きっと青空は綺麗だろうし、山は青々として、海もどこまでも広大でしょう。

例え太陽系が爆発してしまっても、遠く離れた宇宙のどこかでは、変わらず静かによろしくやっていることなのでしょう。

まぁそこまで視野を広げずとも、どんなに苦しい時にでも生きていることによる幸せは有るし。他人から見たら「お前なんて幸せだろう?」と言われることもあるでしょう。

けれども。本当はこのままでも何もかも素晴らしいんだ!➡よし!自分はこのままで幸せだ!イェーイ!なんて行かないこともまた明白。解っちゃいるけど…という、逃れられないもどかしさや哀愁。

歌詞の、「何もかも素晴らしいのに」の中の「のに」の2文字。この二文字によって、ここまで複雑な情景を言葉ですっと表現して魅せる。このセンスよ…

今日もまた『風に吹かれて』を聴く。本当は素晴らしき幸せな時間の中に居ながらも、ちっぽけなことに心を奪われている自分にため息をつきながら、珠玉の音楽に酔いしれるのです。

【エレファントカシマシの楽曲はこちら】

コメント

  1. さお太郎 より:

    こんにちは。初めてコメントさせていただきます。
    エレカシファンで、偶然こちらのブログにたどり着き、読ませていただきました。
    読んでいて、大げさではなく全てに共感できて、私が感じていたことを言語化してくださりありがとうございますという感じでした。曲の素晴らしさを改めて感じでグッときて、「マイツ」さんの言葉にグッときて…。
    『本当はこれで そう本当はこのままで 何もかも素晴らしいのに』の歌詞は、本当に、何度聴いても胸に沁みるといいますか、深く深く頷けます。

    ライブでの演奏では、25周年たまアリでのピアノバージョンのアレンジは素敵ですが(残念ながら現地では聴けず、映像で観ました)、力強いイントロで始まる通常バージョンは大好きです。イントロが始まった時点で「おお!」と思い、歌が進むにつれてジワジワと感動が…といった感じです。音源はもちろん素晴らしいのですが、ライブでの生歌&演奏の破壊力を一度感じてしまうと、チケットが当たりさえすれば、何度でもライブに行きたいと思ってしまいます。

    この曲に限らず、エレカシの素晴らしい曲たちが世間的にはあまり認知されていないというのは、ファンとしては歯がゆい思いもあります。「良さを分かる人は分かっている。だからそれで良い。」と言えばそれまでですが、勿体ないなあと感じてしまうのは、ファンの贔屓目でしょうか。(TVで紹介されるエレカシ曲といえば、「俺たちの明日」「悲しみの果て」ばかりで…。)

    他の曲についての記事も、今後期待しております!

タイトルとURLをコピーしました