【ポ_SEX MACHINEGUNS】『ポ』という楽曲名称なのです、本当なんです

SEX MACHINEGUNS

あまりに衝撃的なサマリー

『ポ』。これは正式な楽曲名称である。単純に驚きですよね。

一昔前に流行ったトリビアの泉にて、なんと世界には1秒の曲があるぞ!ということでナパームデスのYou Sufferが取り上げられたりしましたね。そんなノリで、『ポ』というタイトルのヘヴィメタル楽曲が存在する…なんていうトリビアとしていつか取り上げられそうなこの事実。

2023年4月に発売されたSEX MACHINEGUNSの『地獄の暴走列車』のトラックリスト。

1.震え
2.燃えろ!!ジャパメタ
3.SHINING STA
4.ワクチン
5.POWER & METAL
6.唇な男
7.魚の気持ち
8.ポ
9.メタルタックスマン
10.The grave
11.廃屋

お解りだろうか、この異質感。彼らの楽曲には確かに特徴的なタイトルが少なくない。けれども、『ポ』だ。このタイトルのみから、その楽曲の中身を正しく洞察出来た方なんていらっしゃるだろうか。そして、いざ楽曲を聴いた時に「そうそう、思った通りの曲だったよ」と思われた方はおられるだろうか。

更に更にこの『ポ』、作詞作曲がSHINGO☆そのひと。

『ポ』という楽曲のサマリーは、もうこの時点でとんでもないことになっているのです。

明らかに普通の楽曲でないことは明らか。飛び道具的な楽曲だろうな、色々な仕掛けがあるだろうな、そういうワクワク感が溢れて仕方のないこの『ポ』。いざ聴いてみれば、その事前予測を斜め上にすっ飛んでいくこと間違いなし。さぁ、心の準備はよろしいでしょうか?

はじめて聴くその瞬間は、その時限りのエンターテイメント体験

繰り返される「ポがつく♪」のフレーズ。

あのー、あれあれなんだっけ?じゃがいもをさぁ…細くしてさぁ…油で揚げたやつ…

ポーがつくー たーべーもーの♪

ポテトフラーイ!

あぁ、はいはい。そういうことね。そういうルールなのね、この曲は。と、我々の脳内に基本ルールが刷り込まれて行きます。

楽曲には適度にブレイクの間が用意されていることもあり、こちらの思考は自然と続いてく歌詞に追従し、「お次はなんだ?」と身構えることになるのです。

あのー、あれあれなんだっけ?小型犬の…可愛いわんちゃん…

基本ルールを踏まえたうえで、高速で楽曲が流れて行く中で、我々の脳内には絶妙なジャストタイミングで回答が思い浮かび、それが正答である、という答え合わせが行われるのです。

ポメラニアーン!

なぜでしょう。ちょっとしたクイズに正解しただけなのに。心地よいメタルサウンドの力か?独特なSHINGO☆の持つ空気感が故か?友達と「せーの!」でクイズに同時に答えてぴったり一致した時のような。変な脳汁がドバドバ出て行くのです。

こうして脳汁を出しながら、幾つかのクイズに答えてく我々。マシンガーであるならばこそ、途中でひとつの可能性に行き当たるのです。

SEX MACHINEGUNS…ポが付く…これは…これは!ポンジュース来るだろ!

ここに「ぴんと来る」瞬間、そしてその予想がズバリ的中する瞬間。あり得ないほどの脳汁が放出されたことでしょう。こればっかりは初めて楽曲を聴いた瞬間しか味わえない、人生で一度しか味わえない、究極の瞬間。

私が「初めに楽曲を聴く時は歌詞カードは読まず、シンプルに音に集中して受け取るスタイル」であることを喜んだ瞬間でもありました。先に歌詞を読んで予想がついてしまったら、サプライズも半減ですものね。

しかし、よくもまぁこんな仕掛けを思い付いたものです。エンタメ力とでも言うのでしょうか。多彩な方々ですよねぇ、本当に。

一度限りでは終わらない、確かな楽曲の「芯」

とまぁそんなわけで。アルバムのドクライマックス前に配置され、まるでお口直しかのようにリフレッシュをもたらしてくれるこの『ポ』という楽曲。たっぷりと楽しめる仕掛けが素晴らしいものの、飛び道具的に面白おかしいだけの楽曲ではないのが、SEX MACHINEGUNSの真骨頂。

面白さはある、おふざけ感はある。けれどもヘヴィメタルの音としてはクソ真面目なド王道。

乾いた跳ねるような触感に調整されたトーマスのドラムプレイは、ここまでのヘヴィメタルの「重さ」とはまた違う「軽快さ」を演出してくれます。

そしてセリフ回しの時間が多いこの楽曲。「セリフを言うだけの時間だから何となく繋ぐ」なんて半端なことは致しません。バック流れるは実にドラマチックな旨味に溢れたギターサウンドよ。

SHINGO☆の「回答」がひとつ終わる度に訪れる一瞬のラッシュタイムは、正に炸裂!爆裂!ヘヴィメタル!あたおかレベルの手数と貫禄のシャウトの前にはこちらもヘドバン不可避。メタルとしても盛り上がらずにはいられませんよ。

そしてこういう仕掛けの曲でも当然訪れる、超高速ギターソロタイム。ちょっとしたオモシロタイムだからといって、一切の手加減無し。縦横無尽に駆け巡る、めたくそ早い超速プレイをたっぷりと堪能させてくれます。

圧巻のギターソロとぽんジュース宣言の後に訪れるクライマックスは、夜が明け、光が射し、新しい展開へ進む姿を称えるような、ギターヒーロー感マシマシのヒロイックサウンド。歌詞に仕込まれた仕掛けが素晴らしいけれども、歌詞が一切なくとも「楽曲としてえげつない」。

単体のエンタメとして面白く、ヘヴィメタルとしてもすさまじく、アルバムとしてのクライマックスへ向けたシフトチェンジもバッチリキメてしまう恐ろしきこの『ポ』。

まったくもって捨て曲無し、一切の隙も無し、ガチガチの鉄板構成で作られた傑作アルバム『地獄の暴走列車』。まだ聴いておられない方がいらっしゃれば、是非に。

【SEX MACHINEGUNSについての記事はこちら】

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